2025.09.21
「エンディングノート」という言葉を耳にしたことはあるでしょうか?
終活(しゅうかつ)が一般的になった今、多くの方が“人生の最終章”を自分らしく迎えるためにエンディングノートを活用しています。
エンディングノートとは、自分の希望や想い、財産・医療・葬儀に関する情報などを一冊にまとめた「人生の記録ノート」です。
法的な効力はないものの、家族へのメッセージや判断の指針となり、遺族の精神的・実務的負担を大きく減らすことができます。
この記事では、エンディングノートの目的・書き方・選び方・活用法、そして書くときの注意点まで、わかりやすく詳しく解説します。
エンディングノートとは、人生の終わりに向けて「自分の希望や想いを整理するためのノート」です。
遺言書のように法的拘束力はありませんが、**家族に想いを伝える“生きたメッセージ”**としての価値があります。
記載内容は人によって異なりますが、主に以下のような項目を記す方が多いです。
個人情報(氏名・生年月日・連絡先)
家族・親族・友人の連絡先リスト
医療・介護の希望
財産や保険・年金の情報
葬儀やお墓の希望
SNS・ネットサービスなどのデジタル情報
家族・友人へのメッセージ
「もしものとき」に家族が迷わず行動できるように、そして自分の人生を見つめ直すための“整理ツール”として、多くの人に選ばれています。
混同されがちな「遺言書」と「エンディングノート」ですが、目的と性質はまったく異なります。
項目 | エンディングノート | 遺言書 |
---|---|---|
法的効力 | なし | あり |
内容 | 医療・葬儀・想い・連絡先など自由 | 財産分与など法律で定められた内容 |
書式 | 自由(市販ノート・自作OK) | 厳格な形式が必要(公正証書など) |
更新 | 何度でも自由に書き直せる | 書き直しには法的手続きが必要 |
目的 | 家族への思いや希望の伝達 | 財産の法的な指示 |
つまり、エンディングノートは“想いを伝えるための記録”、遺言書は“法的に残すための文書”と考えると分かりやすいでしょう。
急な病気や事故で本人が判断できなくなった場合、家族は医療や葬儀など多くの選択を迫られます。
エンディングノートを残しておけば、家族は「本人の希望」を尊重しながら迷いなく行動できます。
銀行口座・保険・年金・不動産などの情報を整理しておけば、遺族の手続きがスムーズに進みます。
特にデジタル情報は放置するとトラブルになりやすいため、ログイン情報をまとめておくのがポイントです。
エンディングノートを書くことで、自分の歩んできた人生を整理し、これからをどう生きたいかを考えるきっかけにもなります。
「誰に感謝を伝えたいか」「今後の夢は何か」を書くことで、人生の新しい意味が見えてきます。
名前・生年月日・住所・血液型
緊急時の連絡先
マイナンバーや保険証の番号(必要であれば)
家族構成
お世話になった人の名前と連絡先
ペットの世話をお願いしたい人の情報
延命治療を望むかどうか
介護施設への入居希望
臓器提供や尊厳死の意向
💡ポイント:
医療や介護の希望は「リビングウィル(事前指示書)」としても活用できます。
預金口座・保険・証券などの一覧
不動産の所在地や権利書の保管場所
クレジットカード・ローンの情報
これらを一覧化しておくことで、家族が迷うことなく手続きを進められます。
葬儀の形式(家族葬・一般葬・直葬など)
喪主を誰にお願いしたいか
参列してほしい人のリスト
お墓・納骨・散骨の希望
スマホ・パソコンのロック解除コード
SNSアカウントの管理方法
サブスクや電子マネーの解約方法
デジタル情報は「デジタル遺品管理表」として別紙にまとめておくと便利です。
感謝の言葉
伝えたかった想い
子どもや孫へのメッセージ
文章にすることで、家族が読み返すたびにあなたの声を感じられます。
最初から完璧を目指さない
思いついたところから少しずつ書きましょう。
鉛筆や消せるペンで書く
状況に合わせて何度も書き直せるように。
大切な情報は別紙で管理
パスワードや財産情報は、信頼できる家族にのみ伝える。
定期的に見直す
1年に1回程度は内容を更新しましょう。
書店や通販で販売されている「エンディングノート専用冊子」は、書きやすく項目が整理されています。
パソコンやノートを使って自分で項目を作るのもおすすめです。自分らしいレイアウトにできます。
一部の自治体や銀行では、無料のエンディングノートを配布しています。
書き終えたエンディングノートは、家族が見つけやすい場所に保管します。
リビングの引き出し
金庫
信頼できる家族や弁護士に預ける
重要なのは、「どこにあるか家族が知っていること」です。
せっかく書いても、見つからなければ意味がありません。
家族が安心できる
緊急時にも、本人の希望に沿った判断ができる。
自分の人生を振り返れる
書く過程で、過去を整理し、未来を考える時間が生まれる。
老後の不安が減る
「もしものとき」への備えが整うことで、心の余裕ができる。
生前整理の第一歩になる
財産や持ち物の把握にもつながります。
家族に内容を共有せず、存在を知られないまま
パスワードや資産情報をネット上に保存して漏洩
書いたまま放置して古い情報のまま
感情的に書いてしまい、読んだ家族が戸惑う
💡対策:
信頼できる人にノートの場所を伝え、1年に一度は更新を。
エンディングノートを書くことで、多くの方が感じるのは「心が軽くなる」という変化です。
これまで気になっていた「もしもの不安」から解放され、自分の人生をより自由に楽しめるようになります。
また、家族とのコミュニケーションも増えます。
ノートをきっかけに、「介護」「葬儀」「相続」といった話題を自然に話せるようになるのです。
エンディングノートとは、単なる“終わりの準備”ではなく、**“生き方を整えるためのノート”**です。
自分の想いを残し、家族への感謝を伝え、これからの人生を前向きに過ごすためのツール。
どんな形でも構いません。今日から、1ページ目を開いてみてください。
そこには、これまでのあなたの人生と、これからのあなたの未来が詰まっています。